草加せんべいの名前には、こんな秘密があった!
- 佐藤 志保

- 6月27日
- 読了時間: 4分

~老舗・大馬屋 鈴木さんに聞く、ブランドと伝統を守る取り組み~
草加の名物といえば、やっぱり「草加せんべい」。香ばしく焼かれたしょうゆの香りと、パリッとした歯ごたえは、地元の人にとっても、観光客にとってもなじみ深い味ですよね。
今回は、そんな草加せんべいの「名前」や「ブランド」にまつわる背景について、創業180年を誇る老舗・大馬屋(おんまや)の鈴木さんにお話を伺いました。
🧠「草加せんべい」は有名すぎて商標登録できなかった⁉
驚くかもしれませんが、「草加せんべい」という名前は商標登録ができなかったという経緯があります。
理由は、「草加せんべい」という名称があまりにも有名になりすぎて、すでに一般名詞のような扱いになっていたからです。つまり、特定の団体や企業がこの名前を独占して使うことができなくなってしまったのです。
この現象は「普通名称化」とも呼ばれ、商品名やブランド名が広まりすぎたゆえに、商標として認められなくなるケースです。
🏷「本場の本物」マークで本物を守る取り組み
そこで、草加市では草加せんべいの品質や製法を守るための新しい仕組みを導入しました。
そのひとつが、「本場の本物」という地域食品ブランド制度です。
「本場の本物」とは、その土地に根ざした伝統製法や、地域特有の厳選された原料を用いて作られた商品にだけ認められるマークです。たとえば草加せんべいの場合は、手焼きの技術や醤油の味付け、素材の選定などに厳しい基準が設けられており、それを満たしたおせんべいだけが「本場の本物」として認定されます。
この制度では、製造者の団体や特認者が定めた基準に対し、第三者である食品産業センターの審査専門委員会が評価を行うことで、客観的な信頼性が担保されています。
さらに草加市では、「草加せんべい発祥の地」の石碑を建てた「おせん公園」を整備し、地域ブランドとしてのアイデンティティを強化しています。

🏢昔は草加と関係のないメーカーも「草加せんべい」と名乗っていた
さらにお話を聞いていくと、15年くらい前までは、草加とは関係ないお菓子メーカーも「草加せんべい」と名乗っていたことがあったそうです。
これも、「商標登録」がされていなかったから、名前だけを使って売ることができたんですね。
でも今ではルールがきちんと整っていて、
草加手焼煎餅協会
草加地区手焼きせんべい協同組合
などに加盟しているお店だけが「草加せんべい」と名乗れるようになっています。本物の味を守るための大事なしくみなんです。
🐴そして…大馬屋さんが新しいパッケージに!
そんなお話を聞かせてくれた大馬屋さんにも、最近ちょっとした変化がありました。
なんと…せんべいのパッケージがリニューアルされたんです!

新しい箱には、かわいらしい“お馬ちゃん”のイラストが登場🐴✨
手に持っただけで笑顔になっちゃうような、あたたかみのあるデザインで、お土産にもぴったり!
以前の紺色で厳かなパッケージは、30年間ご夫婦で営まれていたデザイナーさんにお願いしていたもの。さらにその前には、「駒(こま)」という名前のパッケージが、先代の時代からずっと続いていたそうです。
お馬ちゃんマークだけでなく、米俵のマークも登場してせんべいとの関わりがよりわかりやすくなった可愛いパッケージに変更になったんだとか。
長い歴史のなかで、ずっと変わらない味がある。
でも、時代とともに少しずつ姿を変えて、お客さんに寄り添っていく。
それが、180年続く老舗・大馬屋さんの魅力なんですね。
新しいパッケージは、これから順番に切り替わっていくとのこと。
お店に行ったときは、「お馬ちゃんパッケージ」、ぜひ探してみてくださいね♪
草加せんべいの名前の奥にある、職人たちの誇り
「草加せんべい」は単なる商品名ではなく、地域と歴史、職人のこだわりが詰まった大切な言葉です。その名前を守りながら、味や文化を次の世代へ受け継いでいく――それが、草加のせんべい職人たちが大切にしている姿勢なのだと、今回のお話から改めて感じました。
草加を訪れた際には、ぜひ「本場の本物」マークを探してみてください。その一枚のせんべいには、地元の人たちが守り続けてきた想いがたくさん詰まっています。
ライター:佐藤 地元の魅力と小さな物語を発信中。草加の美味しさと歴史に、これからも寄り添っていきたいと思います。


